【幻想を壊された日】RIZINに期待しすぎるな。それでも僕はRIZINが好きだ
下に英語版があります / English version below
目次
- 久保優太に抱いた幻想と、その崩壊
- シェイドゥラエフという“幻想破壊者”
- 堀口恭司への期待と、UFCの現実
- 朝倉海の挑戦に感じた希望と限界
- 軽々しく「UFC」を口にするな
- 努力と才能の現実(井上兄弟の例)
- RIZINはRIZINの道を行け
- まとめ:幻想を超えて楽しむRIZIN
- English Version
1. 久保優太に抱いた幻想と、その崩壊
正直に言うと、僕は久保優太に幻想を抱いていた。
K-1王者としての実績、格闘技センス、そして斎藤裕に放ったあの衝撃的なKO勝ち。
あの瞬間、心の奥底で「もしかしたら、MMAでもとんでもない選手になるんじゃないか」と本気で感じていた。
K-1からMMAへ転向する選手には常に不安がつきまとう。
でも、久保ならその壁を超えてくれるんじゃないか、
そんな甘い期待=幻想を抱いていたのは、きっと僕だけじゃないはずだ。
だが、その幻想はシェイドゥラエフによって完膚なきまでに打ち砕かれた。
久保優太がシェイドゥラエフと対峙したとき、
僕は試合前からどこか不安を感じていた。
それでも「何かを起こしてくれるかもしれない」と信じたかった。
しかし現実は残酷だった。
シェイドゥラエフは、まるで久保の“肩書き”や“期待”なんて存在しないかのように、
冷酷なまでに圧倒し、僕の中にあった幻想を根こそぎ破壊してくれた。
あの試合で僕は思い知った。
**「幻想は、現実の前では無力だ」**と。
2. シェイドゥラエフという“幻想破壊者”
シェイドゥラエフは、ただ強いだけの選手じゃない。
彼はRIZINに漂う**「甘い夢」や「期待」という幻想を壊す存在**だ。
格闘技ファンは、どうしても「もしかしたら」という希望を持ってしまう。
肩書きや過去の戦績に引っ張られ、現実を忘れてしまう瞬間がある。
でも、シェイドゥラエフはそんな幻想を許さない。
彼の戦い方は徹底して“リアル”だ。
実力差を見せつけ、幻想が入り込む余地すら与えない強さ。
僕は、そんなシェイドゥラエフに対して、
ある種の“感謝”すら感じている。
なぜなら、彼の存在が、
**「RIZINという舞台の現実」**を僕たちファンに教えてくれるからだ。
そして今、僕は信じている。
シェイドゥラエフが、クレベル・コイケも、平本蓮も、鈴木千裕も、
RIZINに残された最後の幻想をすべて叩き潰してくれると。
3. 堀口恭司への期待と、UFCの現実
僕は今でも堀口恭司に幻想を抱いている。
もし彼がUFCに復帰することになれば、前日からワクワクして眠れないだろう。
試合当日は全身に力が入り、祈るような気持ちで画面を見つめるに違いない。
それほどまでに、堀口恭司は日本格闘技界における“希望の象徴”だ。
しかし、冷静に考えれば分かっている。
— UFCは、その幻想すらも飲み込んでしまう舞台だ。
堀口が挑戦した頃と比べて、今のUFCはさらに進化し、
バンタム級・フライ級は世界中の怪物たちがひしめく“地獄”となっている。
どれだけ僕が堀口に期待していても、
UFCのトップ層に立ち向かうには、あまりにも過酷な現実が待っている。
それでも、僕は彼の挑戦を見たいと思ってしまう。
これはきっと、ファンとしての性(さが)なんだろう。
だが同時に、
**「期待すること」と「現実を受け止めること」**は、
別であるべきだとも思っている。
4. 朝倉海の挑戦に感じた希望と限界
朝倉海がUFCに挑戦したとき、
僕は心の中で「9割以上、厳しい結果になるだろう」と感じていた。
それでも、試合が始まると全身に力が入り、
「何か起こしてくれ!」と願っている自分がいた。
これこそが、RIZINファンとしてのリアルな感情だと思う。
冷静に分析すれば、
技術面でもフィジカル面でも、世界との差は明白だった。
だけど、チャレンジする姿勢には素直に拍手を送りたい。
ここで強調したいのは、
「挑戦すること」自体は素晴らしいということ。
しかし、だからといって「通用する」とは限らない。
ファンとして応援する気持ちと、
現実を直視する冷静さは両立できるはずだ。
5. 軽々しく「UFC」を口にするな
最近、RIZINの選手がインタビューやSNSで
「UFCを目指したい」と軽々しく口にすることが増えた。
そのたびに、どこかモヤモヤした気持ちになる。
確かに、UFCは世界最高峰の舞台だ。
そこを目指すのは当然の流れだし、夢を語るのは悪いことじゃない。
でも、UFCの名前を出すだけで“本格志向”だと思われる風潮には違和感しかない。
本当に目指しているなら、
黙って行動すればいい。
海外のジムに行き、世界の強豪と戦う準備をするはずだ。
特に、すでに他の収入源(YouTubeやスポンサー)がある選手なら、
リスクを取ってでも海外挑戦できる環境にいるはず。
それでも国内に留まっているのは、
単に「覚悟が足りない」のではなく、
本人が現実的な選択をしているからだ。
だからこそ、ファンも「UFCを目指します」という言葉に踊らされず、
もっと冷静に選手の行動を見て判断するべきだと思っている。
6. 努力と才能の現実(井上兄弟の例)
世の中では「努力すれば夢は叶う」とか、
「正しい方法で頑張ればトップに立てる」といった綺麗事がよく語られる。
でも、僕はそうは思わない。
実際、多くのアスリートが正しい努力を続けても、限界に苦しんでいる。
その象徴が、井上尚弥と井上拓真の兄弟だ。
ほぼ同じ遺伝子、同じ環境、同じ指導者のもとで、
幼い頃からボクシングに打ち込んできた二人。
それでも、結果はどうだろうか。
拓真も素晴らしい選手であり、世界王者にまで上り詰めた。
しかし、尚弥は“モンスター”として世界中のボクシング界に名を轟かせ、
歴史に残る存在となった。
この違いは、努力の差ではない。
圧倒的な「才能の差」、つまり伸びしろの限界が生んだ結果だ。
格闘技の世界も同じだ。
どれだけ若く始めても、どれだけ専念しても、
すべての選手に「限界」は存在する。
だからこそ、
「専念すればもっと強くなれた」
「若いから無限に伸びる」
そんな幻想は危険だと思う。
選手本人が一番、自分の限界を理解している。
だからこそ、無理に海外挑戦せず、国内での活動や他の道を選ぶこともある。
それを外野が「覚悟が足りない」と批判するのは、
あまりに浅はかだ。
7. RIZINはRIZINの道を行け
ここまで現実的な話をしてきたけれど、
誤解してほしくないのは、
僕はRIZINが大好きだということ。
RIZINは、UFCとは違う。
だからこそ、無理に世界最強を目指す必要なんてない。
もっと言えば、
RIZINにはRIZINの“美学”がある。
派手な演出、ドラマ性、日本人同士の因縁カード――
これはUFCにはない、日本独自の格闘技文化だ。
例えるなら、
「競技のUFC」 vs 「魅せるRIZIN」。
プロレス的な要素を取り入れつつ、
エンタメとして発展する道があるなら、
それで良いじゃないかと思う。
無理にUFCと比べるから、おかしな幻想が生まれる。
RIZINはRIZINのままで、胸を張って進めばいい。
8. まとめ:幻想を超えて楽しむRIZIN
格闘技ファンとして、僕はこれまで何度も幻想を抱き、そして壊されてきた。
久保優太、堀口恭司、朝倉海――
選手たちに夢を託し、現実に直面するたびに感じるのは、
「これが格闘技なんだ」ということ。
でも、だからといってRIZINを否定する気持ちは一切ない。
むしろ、幻想と現実を理解した上で、
これからもRIZINに手に汗を握って楽しみたいと思っている。
シェイドゥラエフのような選手が、
甘い夢を壊してくれるからこそ、
RIZINはもっと面白くなる。
幻想なんてなくても、
僕たちはリアルな格闘技ドラマを楽しめるはずだ。
English Version
The Day My Illusions Were Shattered: Don’t Expect Too Much from RIZIN, But I Still Love It
日本語版は上にあります / Japanese version above
Table of Contents
- The Illusion I Had About Yuta Kubo—and Its Collapse
- Shaydullaev: The “Illusion Breaker”
- My Hopes for Kyoji Horiguchi and the Reality of the UFC
- Kai Asakura’s Challenge: Hope and Limitations
- Don’t Mention “UFC” So Lightly
- The Reality of Effort and Talent (The Inoue Brothers Example)
- RIZIN Should Follow Its Own Path
- Conclusion: Enjoying RIZIN Beyond Illusions
1. The Illusion I Had About Yuta Kubo—and Its Collapse
To be honest, I had high hopes—an illusion—about Yuta Kubo.
As a former K-1 champion with sharp skills, when he knocked out Saito Yutaka, I truly believed he might become a force in MMA.
Like many fans, I wanted to believe he could overcome the hurdles of transitioning from kickboxing to MMA.
But that illusion was completely shattered by Shaydullaev.
Before the fight, I felt uneasy. Yet deep down, I still wanted to believe in a miracle.
The reality? Shaydullaev dismantled Kubo with ease, leaving no room for hope.
That fight taught me a harsh truth:
Illusions are powerless against reality.
2. Shaydullaev: The “Illusion Breaker”
Shaydullaev isn’t just strong—he’s a fighter who destroys fantasies.
Fans often cling to hope, swayed by titles and past achievements.
But Shaydullaev doesn’t care about those things.
He exposes the gap between expectation and reality without mercy.
I actually feel grateful to him.
Because he reminds us what RIZIN really is—a stage where sweet dreams are crushed by true strength.
Now, I believe Shaydullaev will destroy all remaining illusions in RIZIN—whether it’s Kleber Koike, Ren Hiramoto, or Chihiro Suzuki.
3. My Hopes for Kyoji Horiguchi and the Reality of the UFC
I still have hopes—illusions—about Kyoji Horiguchi.
If he were to return to the UFC, I know I’d be excited days before the fight.
But deep down, I know the truth.
The UFC today is a place where even Horiguchi’s legacy would likely be swallowed by the harsh reality.
Still, I’d watch. I’d cheer.
Because that’s what being a fan is.
But I’ve learned to separate supporting a fighter from expecting them to conquer the world.
4. Kai Asakura’s Challenge: Hope and Limitations
When Kai Asakura took on the UFC challenge,
I knew—90% sure—that it would be a tough outcome.
Yet, I couldn’t help but hope.
That’s the nature of being a RIZIN fan.
In the end, reality hit hard.
But I respect anyone who dares to challenge themselves.
Supporting a challenge is one thing.
Believing they will succeed on the world stage is another.
5. Don’t Mention “UFC” So Lightly
These days, many RIZIN fighters casually say,
“I want to go to the UFC.”
It feels like just mentioning the UFC makes people think,
“Oh, they’re serious now.”
But true determination isn’t shown through words—it’s shown through actions.
If they were truly aiming for the UFC, they’d already be training overseas, fighting global competition.
That’s why I dislike this trend of using “UFC” as a way to sound legitimate.
6. The Reality of Effort and Talent (The Inoue Brothers Example)
People love to say, “Hard work pays off.”
But in sports, that’s not always true.
Take Naoya Inoue and Takuma Inoue—same genes, same environment, same training.
Yet, their achievements are worlds apart.
This is proof that talent and potential define limits, no matter how hard you work.
In MMA, it’s the same.
Not everyone can reach the top, no matter how early they start or how much they dedicate themselves.
7. RIZIN Should Follow Its Own Path
I don’t criticize RIZIN for this.
In fact, I love RIZIN.
It doesn’t need to compete with the UFC.
RIZIN should embrace its role as Japan’s unique blend of entertainment and martial arts—like a modern version of pro-wrestling culture.
There’s value in being a show, in telling stories, and giving fans something to get excited about.
8. Conclusion: Enjoying RIZIN Beyond Illusions
I’ve had my illusions shattered many times as a fan.
But that’s part of the journey.
I don’t need fantasies anymore.
I just want to enjoy RIZIN for what it is—
A place where I can still clench my fists in excitement.
Even without illusions, RIZIN is worth loving.