『英語が日本語みたいに出てくる頭のつくり方』読書レビュー|学び直し英語に王道はあるのか?
(英語版は記事後半にあります)
English version is available below.
英語を学び直していると、ふと立ち止まってしまう瞬間があります。
「今のやり方で本当にいいのか?」
「いったい何を信じて進めばいいのか?」
僕自身も、そんな不安をずっと抱えながら学習を続けていました。
NHKラジオ英語講座で毎日インプットを続け、VRChatで外国人と実際に会話をしてアウトプットする。
そんな学習方法は自己流といえば自己流ですが、あまりにも学校のやり方と違うため、ときどき不安になることがありました。
学習法が多すぎる時代に思うこと
今の時代、英語の学習法はとにかく多すぎます。
TOEIC対策、英検、発音、リスニング、瞬間英作文、多読、文法書、英会話アプリ……。
しかも、それぞれが「これこそが正解」と言わんばかりの顔で並んでいる。
僕は思いました。
「もし王道があるなら、こんなに流浪するように学習法が並立するはずがない」
ひとつひとつは有用なのだと思います。
でも、何が基本で何が補助なのかがわからないまま、すべてが「正解」として立てられると、初心者は戸惑ってしまうのです。
だから、この本を読んだ
そんな中で出会ったのが本書
『英語が日本語みたいに出てくる頭のつくり方』 (川﨑あゆみ 著)。
作者は「第二言語習得論」の専門家。
これは、英語を「正解なる方法」で習得するための、学術的知見に基づいた実用的なガイドブックです。
僕にとって英語は、人生で初めての第二言語です。
日本語しか話せない僕にとって、外国語を習得するという経験そのものが初めてなんです。
だから、「英語ってこうやって勉強すればいいんだよ」と言われても、
その前提となる「第二言語を学ぶってどういうことか」がまったくわかっていなかった。
第二言語習得とは、そもそも生まれてきて初めて経験する“まったく未知のプロセス”なのだ。
だからこそ、YouTuberの成功談や「俺はこうやって覚えた」という体験談よりも、
まず最初に、第二言語習得に関する学術的な知見を学ぶことが当たり前に大事なことなんだと、僕は強く思う。
僕が本書から学んだこと
この本を読んで、一番心に残ったのは「じぶん英語」という考え方でした。
これは第二言語習得論における「中間言語(Interlanguage)」という概念に基づいています。
中間言語とは、学習者が母国語と目標言語(英語)の間に、独自に作り上げていく“自分だけの言語システム”のこと。
言い換えれば、英語を学んでいく中で僕たちは、
ネイティブと同じように話す必要はない。
むしろ、自分の中で使いやすい「じぶん英語」の回路を育てていけばいい。
本書では、こうした「じぶん英語」を育てていくための考え方と方法が、理論と経験の両面から丁寧に解説されています。
- ネイティブのような正確さを目指すより、「通じる英語」「使える英語」を育てる
- 「じぶん英語」を育てるために必要なのは、たくさんのインプットと、恐れずに使うアウトプット
- 英語を英語のまま理解し、英語のまま使える回路を少しずつ作っていくことがゴール
単語は7回出会ってようやく「自分のもの」になる
本書の中で印象的だったひと言があります。
「同じ単語に違う文脈で7回出会うのが理想的」
これを読んで、「ああ、それは確かにそうだ」と腑に落ちました。
2~3回見聞きしただけでは、「これ、どこかで聞いたな」という曖昧な記憶にしかならない。
でも7回ぐらい出会っていると、さすがに「こういう場面で使われるんだな」「こういうニュアンスなんだな」と、
“使える言葉”として自分の中に根づいてくる感覚があるんです。
YouGlishのように、さまざまな文脈で同じ単語と出会えるツールを活用することは、
この「7回の出会い」を自然に実現する手段にもなります。
アウトプットの難しさと気づき
アウトプットには3つの要素があるそうです。
- 流暢さ(スラスラ話す)
- 正確さ(正しい文法・語彙)
- 複雑さ(構文や語彙の深み)
僕は特に「流暢さ」だけを意識して外国人と会話しています。
ブロークン英語でいいから、とにかく相手に自分の考えを伝えることだけに集中していました。
でもあるとき、「正確さ」がまったく育っていないことに気づきました。
そこで、ChatGPTを使ってその日に話した内容を日記として書き、正確な英語に直してもらうことにしました。
VRChatでは流暢さを重視し、現実に戻ってからChatGPTでその会話の正確さを確認する。
この流れをしばらく続けていこうと思います。
実際やってみると、たった2〜3行の英文を書くことすら難しいと気づきました。
でも、それだけで多くの学びがあります。
この本がくれた安心と再確認
僕には幸運にもVRChatという環境と、ChatGPTというツールがあります。
これまでの学習方法が科学的に正しいのか不安でしたが、
この本を読んで「今の学習法でいい」と確信できました。
- 目的:VRChatで外国人と深く交流できるようになること
- 目標:2026年3月末までにCEFR B1レベルになる
- 方法:NHKラジオ英語講座+VRChat+ChatGPT
TOEICなどの資格試験ではなく、リアルなコミュニケーションが目的だと改めて実感できました。
英語学習初心者にこそ読んでほしい
初心者こそ、最初にこの本を読んでから始めることで、
自分に合った学習法を選ぶ指針が得られるはずです。
English Review: How to Build a Brain Where English Comes Out Like Japanese
(This is the English version of the Japanese review above.)
Relearning English as an adult often made me anxious.
I wondered: “Is my method right? Who should I trust?”
I’ve been studying with NHK Radio programs and using VRChat to talk with people around the world. But I always felt unsure.
Then I found this book:
“How to Build a Brain Where English Comes Out Like Japanese” by Ayumi Kawasaki — a specialist in Second Language Acquisition (SLA).
What I Learned
The biggest insight was the concept of “My English” — based on “Interlanguage.”
You don’t need to speak perfect native-like English.
You just need to build a system that works for you.
This book taught me to:
- Focus on communication over perfection
- Balance input (listening/reading) and output (speaking/writing)
- Build internal circuits that process English naturally
Seven Encounters with a Word
You need to meet the same word in seven different contexts.
It’s true — seeing it a few times isn’t enough.
But when it pops up again and again, in different places, it starts to feel like yours.
Tools like YouGlish help you experience this in real time.
The Challenge of Output
Output has three components:
- Fluency
- Accuracy
- Complexity
I used to focus only on fluency. I just wanted to get my ideas across.
But then I realized — I wasn’t building accuracy.
So now, I write English diaries based on what I talked about in VRChat.
Then I ask ChatGPT to correct them.
It helps me improve both fluency and accuracy in balance.
Why This Book Gave Me Confidence
I’m lucky. I have VRChat to practice with real people.
I know how to use ChatGPT for active output.
But I didn’t know if my method was scientifically sound.
This book showed me — yes, it is.
Just using NHK + VRChat + ChatGPT is close to the right answer.
My Clear Goal Now
Until now, I had no deadline. No exam target.
But now I do:
- Current Level: A1
- Target: B1 by March 2026
- Purpose: To build deeper friendships in English, not to pass tests
Final Thoughts
If you’re a beginner, or struggling with too many methods — this book is for you.
It gave me clarity, direction, and motivation.
I’m glad I read it.